相変わらず先週起きた漁船とイージス艦の衝突事故の話題がニュースをにぎわしていますが、その間にも世界経済はサブプライムの時限爆弾爆発の恐怖からは免れられないようです。
今週発売の週刊経済誌2誌(いずれも3月1日号)がこぞって身の毛もよだつカバーストーリーで恐怖心を煽っているかのようです。「怖いもの観たさ」の性分の筆者もタイトルにつられて2誌とも購入してしまいました。そういえば、第1次湾岸戦争勃発時(89年夏)もニューズウィーク誌を買っていましたっけ。
■週刊東洋経済
世界恐慌 ?
スタグフレーションか資源バブル破裂か!
■週刊ダイヤモンド
世界同時不況
迫り来る「総崩れ」の恐怖
実は昨年夏にサブプライムローンの破綻問題が表面化したときからずっと気になっている「影の主役」と思しき会社があります。名前をいえばすぐピンとくる世界最大の保険会社ですが、テレビのスイッチをいれると毎日何人ものタレントを使って派手なコマーシャルを流しています。
個人的な偏見かもしれませんが、派手なテレビコマーシャルをやっている会社はどこか「胡散臭い」ものを感じてしまいます。かつてはタバコ会社、消費者ローン(サラ金とはいえないのでしたね)、人材派遣会社、英会話等々、例を挙げたらきりがありません。
その保険会社は先日デリバティブ関連の損失が50億ドル(約5000億円)近くにのぼる可能性があるとの報道がされましたが、その後詳細は明らかにされていません。この会社は昨年秋にも保有債券で多額の評価損を計上するとのうわさが広がり、米国株式市場の下げを呼んだこともありました。あの時は結局事実ではないということで収まりましたが、そろそろ危ない気がします。
場合によっては世界同時不況(もしかすると世界恐慌?)の引き金を引きかねない「時限爆弾」のような存在と筆者はみています。思い過ごしならそれに越した事はないのですが、不気味な存在です。
ともかく、「景気の減速」か「景気後退」かという議論の時代は終わり、「単なる景気後退」か「スタグフレーション」かという議論の時代に突入したようです。
事故原因を捜査する「第三管区海上保安本部(横浜市)」は弊社の北約1キロ先ですので、窓から赤レンガ倉庫の少し先にその通用門と岸壁に停泊する船舶が見えます。
筆者は天気の好い日には東神奈川に近い自宅から30分ほどかけて自転車で通勤していますが、「みなとみらい」の横浜マリノスのグランド、パシフィコ横浜前を通り、この海上保安本部の前、そして赤レンガ倉庫前を経て、オフィスに到着というコースをたどっています。
今もこの海上保安本部は事故後の対応でテンヤワンヤの騒ぎをしていることでしょう。事故に遭われたご家族のご心配を思うと、その後の自衛隊、それから防衛省の対応は何とももどかしく呆れてしまうほどです。
今回の事故により、3つの意味でわが国の危機管理能力が問われていることを認識すべきでしょう。
(1)なんといっても国民の財産と生命を守るはずの自衛隊が、そのいずれの任務を果たさず、しかも事故直前の回避行動も適切に行われたかどうかすら疑問視されていること。この事故が海難審判(あるとすれば・・・の話ですが)に諮られれば、過失責任はイージス艦側にあることは明らかでしょう。海上での危険回避行動が適切に行われれば、起こるはずのない事故ですから。
(2)そしてこの事故により図らずも国家の重大機密が世界中に漏洩されてしまったこと。即ち、あのハイテクの固まりのようなイージス艦が照明を掲げてその存在を明示している漁船すら回避できなかった、その程度の自己防衛能力しかないお粗末なものだったということ、これでは夜の闇に紛れて接近する武装工作船の格好の餌食になりかねないことを白日の下に晒してしまったようなものです。
(3)さらには事故後の関係者、特に政治家を含めた事故後の情報の伝達経路やその後の初動対応があまりにも稚拙で杜撰だったことです。
もしこの事故がイージス艦側の「そこのけ、そこのけxxxxが通る」というルール無視の操船を行っていたために起きたとしたら、その一事だけで、艦長と自衛隊の最高幹部は責任をとって辞任すべきでしょう。
さらに(2)の機密漏洩は総指揮官である防衛大臣が責任を取るしかないでしょう。(恐らく、「防衛オタク」のご本人はそうした認識はまだないのかもしれませんが)
あまりにも貴重な被害者(犠牲者にならないことを祈るのみですが)を代償にしてしまった痛恨の事故ですが、今回の事故は現在の日本の統治者たちの危機管理能力がどの程度のものかを見極める機会になったことは確かでしょう。じっくりと今後の行方を見守りたいものです。
中国がらみの食品といえば、つい先日も北京オリンピックのアメリカ選手団の食料は中国国内では調達せずに、すべて中国以外から調達して持ち込むことになっていることが報じられていました。これからもジワジワとこうした動きが表面化することでしょう。
国民の生命と財産を守れない国家は、従業員の雇用を守れない企業と同じように、やがて崩壊します。
今回の事件は中国に内在する根深い問題の一端が浮き彫りになったわけであり、その意味で中国は「存亡の危機」に瀕していると思うのですが、果たして中国の指導者たちは今回のこの事件をどのように考えているのでしょうか。
筆者が二十世紀屈指の大政治家として尊敬する周恩来同志のころに比べると、このところの中国の指導者ははっきり言ってぱっとしない凡庸な政治家ばかりです。(あまりよその国のことばかりいえた義理ではありませんが)
日本国民にできるのは、その凡庸な政治家たちの危機管理能力がどれほどのものなのか、じっくり見定めることぐらいしかないというのももどかしい限りです。
どちらの候補者が大統領選に名のりを上げるかは分かりませんが、多分次期大統領になることでしょう。そして政策的にも大きな転換が図られるに違いありません。あまり過大な期待は禁物ですが、現政権の失政によってもたらされたアメリカの威信低下と失われた国際的な信用も回復できるかも知れません。
これは独裁国家なら、血なまぐさい革命でも起きなければ実現しないことが、オープンな政治イベントで粛々と行われていく「無血革命」です。これだけでも民主主義が「最善ではないが他の制度よりマシなもの(ただし正常に機能すれば・・・の話ですが)」ということの証明なのでしょう。
翻って今の日本の政治状況と対比しますと、あまりにレベルが違うので愕然としてしまいますが、それはあまり考えずに勝敗の行方を見守りたいと思います。
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